【イラン戦争の本当の狙いは「中国」】

(投資家:BNFの投稿が学びになったのでシェア)

【イラン戦争の本当の狙いは「中国」】

トランプ政権がイランを攻撃した理由について、日本のメディアは「核開発の阻止」「イスラエルの安全保障」と報じている。

半分正しいが、半分足りない。

この戦争の本当の意味を理解するには、もっと大きな地図を見る必要がある。

 

【なぜ今イランなのか】

この20年間で、イスラエルの周辺から脅威が「順番に」消えていることに気づいているだろうか。

2003年:イラク → フセイン政権が消滅

2013年:エジプト → ムスリム同胞団政府がクーデターで倒れる

2024年:シリア → アサド政権が崩壊

2024年:ハマス → ガザ紛争で壊滅的打撃

2025年:ヒズボラ → 大打撃

2026年:イラン → ←今ここ

偶然ではない。

これはアメリカの長期国家戦略だ。

イランは「ラスボス」だった。イスラエルにとって最大の脅威であり、中東で最後に残った反米の大国。

そのラスボスが今、叩かれている。

 

【本当の敵は中国】

ではなぜアメリカは中東の脅威を「順番に」潰しているのか。

答えは中国だ。

アメリカの経済力と軍事力は世界一だが、無限ではない。旧ソ連よりも今の中国の方がはるかに大きな脅威になっている。

アメリカが本当に軍事力を集中させたいのはインド太平洋だ。対中国の最前線。

しかし、中東に軍事資産を置いたまま、同時にインド太平洋にも全力を注ぐことはできない。

だから、中東の脅威を先に片付ける必要があった。

イラク、シリア、ハマス、ヒズボラ、そしてイラン。

これらを順番に排除すれば、アメリカは中東から手を引いて、全力で対中国に集中できる。

これはトランプ個人の判断ではない。

バイデンでも遅かれ早かれ同じことをやっていただろう。

アメリカという国家レベルの長期戦略だ。

トランプの発言が2転3転するのは、この「本当の理由」を公に言えないからだ。

 

【一帯一路の「道」が物理的に消えた】

もう1つ、ほとんど報じられていない視点がある。

習近平のトレードマークである一帯一路。

旧シルクロードの復活計画だ。

中国から中央アジアを通り、カスピ海の南を回り、イランを通り、イラクを通り、シリアを通って地中海に出るルート。

今、そのルート上の国が全てアメリカ側の支配下に置かれた。

イラクはすでに親米政権。

シリアのアサド政権は崩壊した。

そしてイランが今叩かれている。

中国が構想していたユーラシア大陸横断の経済圏——その「道」そのものが、物理的に閉ざされた。

これが偶然だと思うなら、地図をもう一度見てほしい。

 

【なぜ「今」なのか——ロシアが動けなくなった】

タイミングにも理由がある。

これまでイランの後ろ盾だったのはロシアだ。

ロシアとイランの協力関係が、アメリカとイスラエルに対するバランス要因だった。

しかし、ロシアはウクライナで泥沼にはまり、中東に注力する余裕がなくなった。

同時に、シリアのアサド政権が崩壊し(ロシアの後ろ盾が消えた結果でもある)、ハマスとヒズボラも大打撃を受けた。イランの「代理勢力」と「後ろ盾」が同時に消えた。

イランは事実上、孤立した。 だから「今しかない」タイミングだった。

ちなみに、周辺国は攻撃前からなんとなく察知していたフシがある。

2月に入ってサウジアラビアは約700万バレル、UAEも約350万バレルと、通常以上のペースで原油を出荷していた。「何かが起きる前に出せるだけ出しておこう」という動きだ。

空爆だけでは政権は倒れない

ここで冷静になる必要がある。

ハメネイ師を殺害し、軍幹部を壊滅させた。だが空爆だけでイランの体制は転覆しない。

イランには革命防衛隊がある。

ナチスドイツのSSに相当する組織で、通常の軍とは別物。100万人規模の動員が可能だ。

さらにバスィージという政権寄りの民兵組織もある。こういう事態に備えて長年育ててきた部隊だ。

シリアとは状況が違う。

シリアでは内戦勃発時に軍の一部が反乱して自由シリア軍を作り、欧米が支援した。

だからアサド政権を追い詰められた。

イランにはその構図がない。政権を倒したいイラン人は大半だろう。

だが彼らには武装勢力も組織もない。「思い」はあるが「手段」がない。

アメリカが本気で体制転換を狙うなら、イラク戦争のように地上軍を投入する必要がある。

だがイランの人口は9000万人。

イラクの3倍だ。

アメリカ国内の世論がそれを支持するとは思えないし、トランプ自身もその覚悟はないだろう。

ただし、ゼロではない。

戦争が続く中でアメリカの空母が攻撃されて大量の犠牲者が出るとか、米国内で大規模テロが起きてイラン関係だと判明した場合、全面侵攻の大義名分は生まれ得る。

 

【イランの戦略「全中東をカオスにしろ」】

イラン側にも戦略がある。

ハメネイ師が生前に構築した戦略で、追い詰められたら全中東地域をカオスに落とし入れろというものだ。

周辺国のエネルギー施設を攻撃し、サプライチェーンを止め、世界中から「アメリカやめろ」という圧力をかけさせる。実際にカタール、クウェート、サウジの米軍基地やエネルギー施設が攻撃されている。

これは政権の生存戦争だ。

イランの指導部は宗教的にコアな原理主義者で、「国際社会からの批判」など気にしない。

もともと経済制裁で孤立しており、取引相手は中国とロシアだけだ。なりふり構わない。

ただし、イランは攻撃対象を選んでいる。

トルコには一切手を出していない。トルコはNATOでアメリカの次に強い軍隊を持つ。

巻き込んだら終わりだと分かっている。

追い詰められながらも冷静に計算している。

 

【500万円 vs 18億円の非対称戦争】

もう1つ注目すべきはコストの非対称性だ。

イランのドローン「シャヒード」は1機約500万円。

それを迎撃するパトリオットミサイルは1発約6億円。

しかも1機のドローンに3発撃ったりする。

500万円のドローンを落とすのに18億円。

攻撃は防衛よりはるかに安い。

この非対称戦争がイランの武器だ。

数で押せば、アメリカ側の防衛コストは天文学的に膨らむ。

 

【ホルムズ海峡は「すでに封鎖」されている】

物理的にブロックしなくても、事実上の封鎖はすでに成立している。

イランは「ホルムズ海峡を封鎖した」と宣言し、タンカーへの攻撃も起きている。ここで考えてほしい。

この状況で保険会社が保険を出すか?

保険屋の立場になってみろ。

「今からホルムズ海峡を通ります」というタンカーに、どんなにプレミアムを積まれても保険は出せない。損失を覚悟できないからだ。

保険がなければタンカーは動けない。

だから物理的に封鎖しなくても、実質的にもう止まっている。

さらに最悪のシナリオがある。

ホルムズ海峡は狭いところで約30km、水深も浅い。

真ん中の深いところに大型船を2隻沈めれば物理的に封鎖できる。その場合、撤去に1年以上かかる。

日本の原油輸入の約70%がホルムズ海峡を通っている。

ヨーロッパはパイプラインで迂回できるが、日本、中国、韓国、インドはタンカーで運ぶしかない。

この戦争で最も打撃を受けるのはアジアだ。

 

【日本経済への影響:トリプル安が始まった】

すでに市場ではトリプル安が起きている。

メカニズムはこうだ。

❶ 原油高 → エネルギーコスト上昇

ガソリンは150円台を切っていたのに、200円超えの可能性

❷ 原油高 → 貿易赤字拡大 → 円安

311以降の原発停止で輸入コストが構造的に高い日本

せっかく縮小していた貿易赤字がまた拡大

❸ 国が補助金で負担 → 財政悪化 → 金利上昇

すでに10年金利が高騰

 

結果:金利上昇 + 円安 + 株安 = トリプル安

金融政策も詰んでいる。

アメリカはインフレ環境で利下げできない。

日本はインフレ率が再び3%に近づいており、日銀も動かざるを得ない。

アメリカは利下げできない。

日本は利上げせざるを得ない。

投資家にとって最悪の組み合わせだ。

 

【原油はどこまで上がるか】

2026年に入ってから原油はすでにじわじわ上がっていた。

55ドル→65ドル→WTI74ドル、ブレント80ドル手前。

戦争前から2ヶ月で30%以上の上昇。

 

【原油のシナリオ】

短期終結(1〜2週間で停戦):

→ 60ドル台に戻る。ただし攻撃前よりは高い

長期化(4〜5週間以上):

→ 100ドル〜120ドル(ウクライナ戦争開始時と同水準)

ホルムズ海峡の物理的封鎖(最悪):

→ 130ドル〜150ドル

→ 日本の原油輸入が1年以上ストップする可能性

原油だけではない。

カタールは世界2位の天然ガス生産国で、主にヨーロッパに輸出している。

ヨーロッパの天然ガス価格は一時50%上昇した。

エネルギー危機は全世界に波及している。

 

【投資家が今やるべきこと】

❶ パニック売りするな。

ずっと調整なしで上がってきた日経平均にとって、ある程度の調整はむしろ健全だ。場合によっては選挙後の窓(54,000円あたり)を埋めに行く可能性もあるが、恐怖シナリオだけが先行するのは良くない。

❷ 遠くの有事は、そこまで深刻な影響を市場に与えない。

これは過去の経験則。一時的な波乱要因にはなるが、直接関わらない地域の有事でパニックになるレベルではない。

❸ ボラティリティには備えろ。

2〜3月はそもそも荒れやすい時期。

コロナショックは2020年3月。

VIXショックは2018年2月。

去年のトランプショックは2025年3〜4月。

全部この時期。信用取引やレバレッジは控えめにするか、一旦現物に戻すべき。

❹ トランプの弱点は「株安」。

トランプはずっと株高を自分の実績にしたがっている。相場が荒れるとスローダウンする。株が暴落するような政策を長く続けることはしないだろう。

❺ 戦争が続く限り、ゴールドと原油は上がる。

有事のゴールド、有事の原油。これは歴史の繰り返しだ。エネルギー株と金関連は買われ、航空・輸送・自動車は売られる。

 

結論:この戦争は中東の戦争ではない

 

表面的な理由は「核開発の阻止」だ。

だが本当の構図は米中新冷戦にある。

アメリカは中東の脅威を20年かけて順番に片付け、軍事資産をインド太平洋に移そうとしている。

イランはその「ラスボス」だった。同時に、中国の一帯一路のルートが物理的に切断された。

この戦争は、中東の戦争に見えて、実は対中国戦略の一部だ。

そう理解すれば、次に何が起きるかも見えてくる。

 

中東が片付いた後、アメリカの目はどこを向くか。

台湾海峡だ。

そして、今日のニュースでトランプ氏がとんでもない発言をしました。。続く・・・

コメント

“【イラン戦争の本当の狙いは「中国」】” への2件のフィードバック

  1. otsuのアバター
    otsu

    解説ありがとうございます!!!とても勉強になりました!
    ネットで調べて得た知識と全く異なる事実を知ることが出来ました!!!

  2. マサムネのアバター
    マサムネ

    Otsuさん、参考になって良かったです!
    「備えよ!」ですね。

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